2021年6月1日 支援制度も増加中!教育資金を準備するポイント

 

 社会の急速な変化に対応できる人材づくりを目指した新学習指導要領や大学入学共通テストの導入など、教育改革が今大規模に進められています。これと並行して、教育を支える教育資金の支援制度が強化されています。 

 

1.日本は幼児教育と高等教育の家計負担が大きい

<かかる費用の目安> 

出典:日本FP協会「くらしとお金のワークブック」

 

 教育費は公立か私立かで、かかる費用が大きく変わってきます。小学校は6年間で公立なら193万円ですが、私立となると917万円。約4.8倍です。上記の大学のデータには習い事などは含まれていませんので、それも計算に入れると、幼稚園から大学(文系)まで全部公立に通った場合の教育費はトータルで約1,000万円、全部私立だと約2,500万円かかります。

 OECD=経済協力開発機構は日本の教育費について「日本の幼児教育及び高等教育に対する支出は50%以上が家計からねん出され、家庭に極めて重い経済的負担を強いている」と指摘しています。

こうした中、政府は教育資金の援助強化に力を入れています。2019年には幼児教育保育の無償化が実施されました。これにより幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する3歳から5歳の全ての子供たちの利用料が原則無償となりました。住民税非課税世帯を対象に0歳から2歳児までの利用料も無償化されました。

 また、高等学校では国が学費の一部を負担する「高等学校等就学支援金」が2014年から実施されています。この制度も去年4月から大きく強化され、私立高校の授業料の支援額が増大しました。両親の一方が働いている場合、年収910万円未満だと年間11万8,000円が支給され、公立高校の授業料が実質無償となっています。これに加え、年収590万円未満で私立高校に進学する場合は年間39万6,000円が支給され、平均で授業料の全額と学校納付金の多くの部分が実質無償となりました。

 

<私立高校生への就学支援金の拡充>

出典:私立高校授業料実質無償化リーフレット 文部科学省

 

 

2.高等教育への支援

 大学など高等教育機関への進学率は現在82.8%。OECDが「重い負担」と指摘した大学などの教育費を、皆さんはどのようにねん出しているのでしょうか?

<教育費の捻出方法 アンケート結果>

出典:令和2年度「教育費負担の実態調査結果」日本政策金融公庫

 

 大学生に対しては、所得が低い世帯の学生に対する授業料などの減免制度があり、多くの民間団体などがお金を返済しなくて良い、給付型の奨学金を給付しています。

 奨学金や教育ローンを利用する際は、まず①お金をくれる給付型の奨学金などを探す。しかし、条件などが合わず給付を受けられない場合は、次に②無利子の貸与型奨学金などを探す。それも、条件が合わない場合は③有利子の奨学金、教育ローンを金利の安いものから優先して選ぶ。このように①⇩②⇩③という順番にあたって行く方が多いと思います。

 

①のお金をくれる奨学金は多くの民間団体や大学などが実施しています。日本学生支援機構の給付型奨学金は住民税非課税世帯およびそれに準じる世帯の学生で、学ぶ意欲がある学生に給付型奨学金を給付しています。

②の無利子の奨学金は地方公共団体が多く実施しています。日本学生支援機構の貸与型奨学金第一種は、所得が低く成績が優秀な学生が対象です。

③有利子については金利や低い順に、日本学生支援機構の貸与型奨学金第二種、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」、民間の金融機関の教育ローンから探します。

 

 日本学生支援機構の奨学金は給付が始まるのが入学後になりますので、入学金や初回の授業料などは通常他のローンで準備します。また、地方公共団体の奨学金は日本学生支援機構の奨学金と併給できないものもありますのでご注意ください。

 

 

3.教育費プランを立てるときのポイント

 教育資金を準備するには、①資金をためる。②支援制度を利用する。③資金を借りる。④支出を削減する。⑤資産を増やす。⑥働いて収入を増やす。⑦親族から援助を得る。などの手立てがあります。ライフプラン全体を見ながら、最適な教育プランを立ててゆきます。親が50歳過ぎのころ子供が大学に進学し、資金がショートするケースが多く、「50の谷」などとも呼ばれています。時系列で、収支の推移を丁寧にチェックしてプランを作成し、希望の進学をかなえていただければと思います。

 

 

一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)   福本 芳朗 CFP®

KFSCは神奈川県民の皆様のライフプラン作りやより豊かな生活の実現に貢献するこ

とを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。

 

 

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