2022年12月15日 米国中流家庭のように資産1億円をもつために必要なこと(その三 低コストが最重要)

「米国中流家庭のように資産1億円をもつ」のシリーズ第8弾です。前回から、つみたて投資での大事なポイントを深堀しています。今回は、資産運用で、最も大切な「コスト」(手数料)についてです。

 

まず、このシリーズでは、「私たちも1億円の資産形成が可能である」ことを説明してきました。大切なのは、その実現のために、リスクは中庸でよいという点です。リスクは避けて通れませんが、低めのリスクのほうが、不安を少なめにできるし、しかも、超長期投資ならそれで十分な資産形成ができうることを示してきました。

 

◆ 中庸なリスクの資産形成のポイントは3つ

 ①低コスト(低コストのインデックスファンドを選ぶ)

 ②超長期運用(つみたてと定期定額取り崩し(年金受け取り)の期間を組み合わせる)

 ③世界分散投資(適切な資産配分でリスクを抑える) 

 

◆ 月1万円のつみたて投資で実現できること

 わずか月1万円のつみたて投資でも、80年の超長期なら、こんなに!、という額にたどり着くことを示す例が次のグラフです。株式投資信託での運用なので、少し高めの年リターン5.3%でシミュレーションしました。月1万円で、1億円超えです。 

 日経平均の実際の株価変動をベースにしているので、ものすごくアップダウンを繰り返しているのが注意点です。その厳しい現実を乗り越えられる金融力・リスク許容度があれば、魅力的といえるゴールが見えています。

 

◆ リスクを下げるために、最初にすべきこと

 この資産形成のゴールを実現するために、ただし、リスクは、このシミュレーションより低めにするためにどうすればよいか?

そのいの一番の選択肢が、低コストのインデックスファンドで4資産分散することです。 

 ほんの数年前まで、ファンド(投資信託)は、手数料が比較的高いと私たちは説明してきました。そこに、政府肝いりでつみたてNISAが始まり(2018年)、つみたてNISAで購入できるインデックスファンドの手数料がどんどん安くなってきました。

 

◆ 低コストのインデックスファンドを選択する(ノーロード、購入時手数料ゼロ)

 株式ファンド購入時にかかる「購入時手数料」は、ゼロ(ノーロードと言います)にすることが求められました。

 

◆ 低コストのインデックスファンドを選択する(信託報酬0.5%以下)

 ファンドは、保有している間にも手数料がかかり、それを「信託報酬」と言います。

金融庁は、その手数料を0.5%以下にするように求めました。

これ以外、いくつかの条件をクリアしたファンドが、選ばれて、216銘柄が現在つみたてNISA用として購入できます。(アクティブファンド、ETFもわずかに含まれますが、インデックスファンドだけに着目します。) 

 もともと、比較的信託報酬が低めであったインデックスファンドですが、それでも以前は、0.5%-1%のレンジの手数料がかかっていました。それが、0.5%以内となり、さらに、競争も始まり、0.1%を切る商品まで登場しています。

つみたてNISAを始める一般生活者にとってはありがたい存在になっています。

 

◆ アクティブファンドとインデックスファンド

 ファンドは、現在、5800もの銘柄があります。その約9割をアクティブファンドが占めています。アクティブファンドは、高収益を目指すがうたい文句ですので、心を揺さぶられるでしょう。 

 アクティブファンドの手数料レベルは1.5%-1.8%といったところです。信託報酬が高いと言っても、1.5%という数字は小さい思う方も多いかもしれません。数字のマジックで高いと感じないのが、このアクティブファンドの手数料かなと思います。手数料が高いか安いかを慎重に見極めていただきたいです。 

 また、アクティブファンドは、ファンドマネージャーが、より高い収益を目指して、株式を調査・選別してファンドを作ろうとしています。ですから、すこし手数料を払っても、より高い利益が得られるならば、よいではないかと思えてしまう方も多いでしょう。 

 しかし、データーは語るで、数年から10年程度という長期といえる期間で見比べると、常にインデックスファンドに勝てるアクティブファンドはあまりありません。アクティブファンド全体の平均リターンは、インデックスファンドと変わらないのです。 

 「長期」でもそうですので、このコラムで、提案する「超長期」(30年~80年)では、アクティブファンドの勝率はさらに下がることが予想されます。

  アクティブファンドが、インデックスファンドに勝てないのには、明確な理由があります。それは、そのコスト(手数料)に負けているということです。

 

◆ 金融庁も、明瞭に推奨している低コストのインデックスファンド

 一般の生活者が資産形成を考えるときには、インデックスファンドを第一選択肢にするべきです。ただし、世界成長が今後も続くことだけは信じる必要があります。インデックスファンドの価格は、世界成長に追従して、上がっていくことが期待できます。それが、合理的な判断といえるでしょう。

 

中庸なリスクで、超長期での資産形成の第一歩は、低コストのインデックスファンドを選ぶことです。 

 

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一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)   理事  奥田健一  

 専門分野:ライフプランニング、資産形成、保険・年金

  主な資格:CFP®・1級FP技能士

 

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