2024年1月15日 介護、医療減免制度の注意点

低所得の方等の介護サービス費や、医療費の減免は申請主義です。

家計相談をするうえで介護サービス費や医療費(あるいは障害サービス費)に苦慮されている方を多く目にします。低所得の世帯向けに、各種減免制度が用意されていますが、そのほとんどがご自身で行政の窓口(保険年金課等)に相談し申請しなければ受けることができません。

執筆者の長年にわたる成年後見業務で培ってきた経験に基づいて、制度の内容、注意点について、現在の法制度を前提にご案内いたします。

 

 ◆減免制度の概要

各種減免制度の内容について、介護サービスと医療サービス区分けしてご案内します。

 

※介護サービスについては2年前にご案内した厚生労働省の介護保険負担限度額認定についてではなく横浜市独自制度(他地区は、ご自身の自治体(保険年金課介護保険担当部門)ごと、ご確認ください)に基づくご案内です。

 

介護サービス自己負担助成制度等について (yokohama.lg.jp)

 

①介護サービス費:年収150万円未満、且つ金融資産350万円未満が対象

 *軽減額は、収入により第一段階~第三段階

・介護保険負担限度額認定:食費、部屋代の負担軽減(生活保護受給者含む)

 *この認定については、遺族年金、障害年金の方は、年収150万円以上でも対象になります。

・介護サービス自己負担助成(各自治体ごとの独自制度):訪問介護、通所介護等が対象

 利用者負担を5%に軽減(生活保護受給者を除く)が基準

・グループホーム助成:認知症対応型共同生活介護(短期利用を除く、生活保護受給者を除く)

 利用者負担を5%に軽減(生活保護受給者を除く)が基準

・社会福祉法人による利用者負担軽減:特別養護老人ホーム入所の場合等

 原則として、利用者負担(介護サービス費の1割、食費、部屋代)の25%又は50%を軽減               

 *生活保護受給者は、特別養護老人ホーム等の個室利用時の部屋代を100%軽減

注:これらの介護サービス助成については基本的に2年目以降更新の案内が送られてきます。

また、介護サービス自己負担助成、グループホーム助成申請時に併せて介護保険料の減額も申請することになります。

「私が対応している被後見人の方は、年収130万円(年金)で年間介護保険料46,800円だったのをグループホーム助成を申請することで⇒17,550円と3分の1程度に減額されました。

*施設入所に際し、多く利用されている介護保険負担限度額認定証は、ケアマネージャーさんもご存じの方が多いと思いますが、今回ご案内した助成は、あまり知られていません。

 

②医療サービス関連:収入による、入院及び通院自自己負担限度額、及び食費軽減等

・国民健康保険:70歳未満(ア、イ、ウ、エ、オの5段階)住民税非課税世帯はオ

・国民健康保険:70歳以上(現役並みⅢ、Ⅱ、Ⅰ、一般、低所得Ⅰ、Ⅱの6段階)

・後期高齢者医療保険  基本上記70歳以上の方同様

 *それぞれ、限度額適用 標準負担減額認定証申請で、入院費、通院費の限度額設定。

  食費の減額が認定されます。 

 

具体的な比較(通常の1割負担未満)

 

更に入院時の食費が、一般で1食460円

低所得Ⅱの場合、1食210円、更に入院日数が、年間91日を超えると、入院中の食費が1食160円に。

低所得Ⅰの場合は1食100円

注:こちらは(後期高齢除く)毎年希望しないと更新もできません。基本2年目以降も案内が届きません

・他、身体障害者手帳2級以上の方は、申請することで、(2年目以降は、自動更新)重度障害医療証が発行され、医療費が無料になります。

 

◆その他の申請することで受けられる制度、サービス

・身体障碍者手帳2級以上で、介護タクシーチケット

・身体障碍者手帳3級で65歳以上75歳未満の方、後期高齢者医療証(医療費1割に)

・精神障害手帳2級、IQ75以下、身体障碍者手帳3級以上の位置2つ以上街頭で水道料金の減免、 NHK受信料の減免も

・所得税の障碍者控除、障害者特別控除、相続税の障碍者控除等各種税金面での優遇

申請することで受けられる減免制度は結構あります。

 

◆まとめ

物価高が叫ばれ、政府としても給与UP、減税等一律な国民への支援策を模索しているようですが、反面、高齢者の後期高齢医療保険料はUPされる状況(住民税課税世帯)もある中、以前からある様々な低所得者向けのサービスが、申請しなければ受けられないにもかかわらず、あまり公表されていません。

私自身成年後見人として、日々被後見人の方々が受けられるサービスへの申請を怠らないように細心の注意を払っていますが、一般の高齢者の方、障害者の方が自分自身で注意するのは、かなり困難と思われます。

FPとしても成年後見人としても日々情報提供に努めてはおりますが、行政担当者だけでなく周囲の方々もしっかり確認していく必要があるでしょう。

 

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一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)  山口 貴之

 

専門分野: 

成年後見、遺言書及び遺産分割協議書作成など相続全般

各種トラブル及び手続(債務整理、行政手続き)相談窓口対応 

主な資格: 

AFP・2級FP技能士、行政書士、3級知的財産管理技能士

日本愛玩動物協会認定:2級愛玩動物飼養管理士

金財:個人情報保護オフィサー・コンプライアンスオフィサー 

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