高齢者等の介護サービス助成制度はいくつかありますが、今年度大幅に変更された介護保険負担限度額認定制度についてご案内します。
令和3年度介護保険負担限度額認定条件が大幅に変更され施対象設サービス(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・ショートステイ)利用者の食費・部屋代の助成制度が見直された為負担が大幅に増加する方が少なからず発生しました。
◆ 介護保険負担限度額認定制度とは
施設入所及び短期入所(ショートステイ)利用時の食費・部屋代については、通常全額自己負担となりますが、所得の低い方のサービス利用が困難にならないよう、所得に応じた負担限度額が設けられ自己負担が軽減される制度のことです。自治体ごとの保険年金課担当窓口に申請し、介護保険負担限度額認定証を取得することで、食費と部屋代が半額以下に抑えられます。
*簡単な例(介護保険費用含む全体)
特別養護老人ホーム従来型(多床室) |
通常月額:約11万~12万円 |
負担限度額利用で約5万~6万 |
特別養護老人ホームユニット型(個室) |
通常月額:約19万~20万 |
負担限度額利用で約9万~10万 |
*所得によって限度額が大きく3段階に分けられています
◆ 変更の概要
介護保険法は、5年ごと改正されています。令和3年4月より改正された内容の中で、介護保険負担限度額認定条件が大幅に変更となりました。簡単に比較をお示しします
◎いずれも対象者は世帯全員が非課税世帯のみ(単身部分の設定で記載)
これまでは、預貯金1,000万円未満
第一段階 |
生活保護受給者等 |
第二段階 |
年金等収入80万円以下 |
第三段階 |
年金等収入80万円超150万円以下 |
変更後 収入に応じて資産要件が分けられ
第一段階 |
生活保護受給者等 |
生活保護 |
第二段階 |
年金等収入80万円以下 |
預貯金・有価証券等650万円以下 |
第三段階(1) |
年金等収入80万円超120万円以下 |
預貯金・有価証券等550万円以下 |
第三段階(2) |
年金等収入120万円超150万円以下 |
預貯金・有価証券等500万円以下 |
※第三段階(2)は居住費のみ減額になりました。
詳細については厚生労働省や各自治体ホームページの内容でご確認ください。
<食費の負担限度額見直し>
金額変更部分( )内に変更前金額記載 *日額
利用者負担段階 |
特養、老健入所者 |
ショートステイ利用者 |
第一段階 |
300円 |
300円 |
第二段階 |
390円 |
600円(390円) |
第三段階(1) |
650円 |
1,000円(650円) |
第三段階(2) |
1,360円(650円) |
1,300円(650円) |
第四段階(減額非対象) |
国の定める基準額1,445円 (施設ごとの契約により異なる) |
国の定める機銃額1,445円 (施設ごとの契約により異なる) |
<部屋代負担限度額> *日額
利用者負担段階 |
特養従来型等多床室 |
特養ユニット型個室 |
第一段階 |
0円 |
490円 |
第二段階 |
370円 |
820円 |
第三段階(1) |
370円 |
1,320円 |
第三段階(2) |
370円 |
1,320円 |
第四段階(減額非対象) |
国の定める基準額840円 (施設ごとの契約により異なる) |
国の定める基準額1,970円 (施設ごとの契約により異なる) |
◆ 介護保険負担限度額認定対象要件の変遷
もともとは、収入用件のみで認定されていましたが、前回改正の6年前に預貯金1,000万以下の資産要件が設定され、各自治体保険年金課への申請の際に(更新の際は原則郵送)通帳のコピーを提出するようになり、今回の変更で資産上限が大幅に減額(第三段階ではこれまでの半額にまで)されただけでなく、現金及び有価証券も内容の提示が義務づけられました。
◆ 今後の対応とまとめ
今回の変更で、負担限度額認定の対象から外れた方は介護施設利用料が一挙に倍近くになり
もしくは第三段階(2)という食費の限度額無の段階も発生し、全体としてかなりの負担増となっています。私が後見人をしている方が入所している従来型の特養からは、対象から外れたことによる自己負担増の費用支払いの承諾書に署名させられました。
ただ、負担が増えたことで預貯金が減り、対象となる資産要件(500万円以下)に該当する状況になった時点で、改めて申請は可能です。そしてまた貯蓄が増えると対象外になるといった繰り返しではありますが。介護保険負担割合が収入に応じ2割、3割となったことも記憶に新しいところですが、介護保険制度全体の財政状況が厳しい中、更なる負担増が懸念されます。
一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC) 山口 貴之 AFP・2級FP技能士、行政書士
KFSCは神奈川県民の皆様のライフプラン作りやより豊かな生活の実現に貢献するこ とを目的に活動するベテランのファイナンシャル・プランナー集団です。 |
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