2023年3月15日 中古一戸建ての賃貸について

 

現在の日本は空き家問題が深刻で総務省の「平成30年度住宅・土地統計調査」によると2018年において849万戸が空き家となっています。これは10年前と比べても2倍以上に増加していてその傾向は現在も続いています。中でも木造一戸建ては240万戸と空き家全体の28.3%を占めています。昔住んでいた実家が空き家になり何年も放置されているなどといったケースも多いのではないでしょうか。ここでは中古戸建てに注目してその可能性と活用方法についてお話しします。

 

◆ 中古一戸建ての可能性

これまで放置されてきた中古一戸建て。駅から遠く設備等も古いので活用は難しいと思われて来ました。しかし見方を変えれば駅から遠いからこそ住環境が良く快適な生活が送れます。コロナ禍でテレワークも増え自宅でもうひとつ仕事部屋が欲しい等の要求にも対応し、駐車場や庭などがある場合もあります。毎日通わなくてもよい場合、バス便でもあれば十分で、駅前駐車場が一日数百円程度であれは車で駅まで行っても負担は少なくて済みます。設備に関しても使えるものは利用し、入れ替えが必要なものだけを新設すれば費用を抑えることができます。

 

◆ 賃貸の取り組み

中古一戸建ての活用といっても古い実家のように自己所有の場合と、これから購入して運用する場合とでは取り組み方が変わってきます。自己所有の場合は設備の入れ替え等で住むため初期費用は少なくて済みます。一方、これから購入して賃貸する場合は土地・建物を新規で購入する必要があるので、より収益性を注視しながら進める必要があります。このように話すと新規で購入する場合は難しそうに思われがちですが、この収益性を考えると意外と利回りも高くとれることがあります。 

 

◆ 収益性の具体例

現状空き家問題のため、中古一戸建てでも数百万円で取得できる物件が首都圏の南関東でも売りに出されています。例えば土地・建物を400万円で購入して400万円で改装をしたとします。これを賃料月額7万円で入居者がいた場合、年間収入が84万円になるので表面利回りは10.5%になります。アパートなどの共同住宅と違い戸建賃貸の場合は供給自体が少ないので入居者も比較的見つけやすいのが現状です。これだけの表面利回りがあれば新規に購入しても収益が見込まれ、持ちだしになる可能性は低くなります。自己所有の物件であればさらに有利な運用が可能となります。

 

◆ 中古戸建てを所有する意味

中古一戸建ての魅力は上記のように収益性が高いことに加えて、各々が個性的で独特の雰囲気があります。これを上手く引き出すことによって賃料アップにもつながります。さらに自己所有の物件をひとつでも持っているということは、自身に経済的な問題が起こり生活資金に窮する状態になっても「自己避難場所」が確保されているのは大きな心の支えになります。そこに入居者がいてもその場合は賃料が入ってくるので、これを家賃にして別の場所を借りて住むことも可能になります。 

 

社会問題となっている空き家問題ですが、中古一戸建ては土地・建物全てが自己所有のため活用の仕方で有利な運用ができます。収益性を見ながら自身のアイデアで新たな価値の創造を楽しんでみるのはいかがでしょうか。

 

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一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC)  平原 雄太

 専門分野:

 不動産運用

   主な資格:

   CFP®、宅地建物取引士、日商簿記2級 

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