2024年1月より新しい「NISA(少額投資非課税制度)」がスタートする予定です。現行NISAと比較して、金融商品の運用益が非課税となるメリット(つまり換金時の課税による手取り金額の目減りがない)は同じですが、非課税保有期間や口座開設期間の制約がなくなり、投資可能な上限額も引上げられます。非常に使い易くなると同時にパワーアップします。これは国の強い後押しでもあり、活用しない手はありません。ここで新NISAの特徴と活用のポイントをしっかりと掴んでおきましょう。
◆ 新しいNISAの特徴
新しいNISAは図表1の特徴を持っており(金融庁ホームページ情報より)、現行の「つみたてNISA」と「一般NISA」は、それぞれ「つみたて投資枠」と「成長投資枠」に置き換わります。
現行のNISAと比較すると、以下のメリットがあります。
・非課税保有期間が無期限化(現つみたてNISAは20年間、一般NISAは5年間)
・口座開設期間が恒久化(現つみたてNISAは2042年まで、一般NISAは2028年まで)
・「つみたて投資枠」と「成長投資枠」が併用可能(現つみたてNISAと一般NISAは選択制)
・年間投資枠が拡大(つみたて投資枠40→120万円、成長投資枠120→240万円)
・非課税保有限度額が総枠で1800万円に拡大(現つみたてNISAは800万円、一般NISAは600万円)、枠の再利用も可能となり、成長投資枠分も1200万円(内数)に拡大
以上が新NISAの特徴の概要ですが、以下の項では「つみたて投資枠」と「成長投資枠」について、それぞれの活用のポイントについて解説します。
◆ 「つみたて投資枠」活用のポイント
この投資枠は、手持ち資金がまだ少ない方、長期にわたりリスクを抑えてつみたて投資を行いたい方など特にお勧めです。この特徴自体は現行と同じですが、年間投資枠が拡大し、非課税保有限度額が引き上げられ、さらに非課税保有期間の無期限化や口座開設期間の恒久化が可能となりました。このパワーアップ効果を数字で見ると図表2の様になります。
この試算では、現行「つみたてNISA」と新NISA「つみたて投資枠」について、原則として利用可能な上限の条件で投資した場合を想定しました(新NISAの積立年数は現実的な36年に設定)。
図表2より、新NISAを使うことで、運用益非課税の特長を維持しながら、より大きな資産形成が期待できることがお分かりいただけるはずです。
◆ 「成長投資枠」活用のポイント
新制度導入に伴い、現行の「一般NISA」は「成長投資枠」に代わり、投資額の拡大や使い易さの向上が図られます。新制度の実際の活用方法やメリットを実感頂くために、「成長投資枠」の特長を最大限に活かした条件での運用シミュレーションを行いました。結果を図表3に示します。
図表3より、年間投資枠と非課税保有限度額の拡大で、現行の約2倍規模で運用益非課税の運用が可能となることがお分かりいただけるはずです。
この投資枠は、投資スキルが高く、投資環境に合わせた売買を行う方だけでなく、退職金や資産相続等で高額な一時金を手にした方、積立て投資などで築いた貯蓄を運用しながら取り崩したい方などにも適しています。また、図表3では触れていませんが、口座開設期間の恒久化や投資枠の再利用が可能となった事より、累計投資額が上限額(1200万円)を下回る分は6年目以降も投資可能となるなど、投資の自由度も大きくなっています。
◆ まとめ
以上、2024年1月より導入予定の新しいNISAについて、制度の特長や活用のポイントについて解説いたしました。投資の規模や自由度が大きく改善されますので、うまく活用して家計の味方にして頂ければと思います。
なお、本稿の内容はあくまで個人的な見解や、その説明の為の事例です。手法を勧めるものでも結果を保証するものでもありません。実施の際はご自身で判断頂ければ幸いです。
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一般社団法人 かながわFP生活相談センター(KFSC) 三好 正信
専門分野:
ライフプラン・金融資産運用設計
主な資格:
CFP®・1級FP技能士
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